銀歯について(アマルガムと金銀パラジウム)

保険適用の歯科治療で長年使用されてきた銀の詰め物「アマルガム」や、現在も一般的に用いられる「銀歯(金銀パラジウム)」は、多くの患者様にとって身近な存在です。しかし、これらの素材には注意すべき点があります。
特に「アマルガム」はその主成分が約50%を占める水銀であり、健康に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
また、「銀歯(金銀パラジウム)」に含まれるパラジウムをはじめとする金属は、金属アレルギーの原因になることがわかっています。

知らないうちに体内に蓄積されたこれらの金属は、皮膚の炎症や神経症状、さらには全身の健康に影響を与えるリスクを持っています。
当院では、アマルガムの使用を一切行っておりません。また、患者様の健康リスクを軽減するため、より安心で安全な治療素材の選択をお手伝いします。

銀歯やアマルガムのリスクについて知り、より健康的な選択肢を検討してみませんか?詳しい内容は以下をご覧ください。

銀歯について(アマルガムと金銀パラジウム)
アマルガムとは?
「アマルガム」とは、「歯科用水銀アマルガム」の略称で、長年にわたり保険適用の歯科治療で使用されてきた銀色の詰め物です。その主成分は水銀で、その他に錫、銅、亜鉛などの金属が含まれています。
アマルガムは、詰める際には軟らかく加工しやすい性質を持ち、硬化すると非常に頑丈になるため、歯科材料として広く用いられてきました。
歴史と使用状況
銀アマルガム用合金は、2016年4月の保険制度改正により、保険診療での使用が禁止されました。

アマルガムはその加工のしやすさや低コストといった利点から、約100年以上にわたり世界中の歯科医院で使用されてきました。日本でも、1930年代から1970年代頃まで保険適用の材料として一般的に用いられており、多くの患者さんがこの治療を受けてきました。
しかし、1970年代以降、水銀の安全性に関する懸念が高まったことで使用が減少し、現在ではより安全で健康に配慮した代替材料が主流となっています。
アマルガムの特徴

1. 加工のしやすさ
治療時に軟らかくなるため、虫歯の形状に合わせて容易に詰めることができます。

2. 耐久性
硬化後は非常に丈夫になり、咀嚼に耐えられる強度を持っています。

3. 低コスト
他の治療材料と比べて安価で、保険治療の範囲内で利用可能でした。

アマルガムの危険性

主成分と水銀の割合
アマルガムの主成分には、水銀(約50%)、錫(約9%)、銅(約6%)、および少量の亜鉛が含まれています。
この中で特に懸念されるのが水銀です。
水銀は、歯科治療における材料として耐久性や加工のしやすさを提供しますが、健康への悪影響が指摘されています。
水銀のリスク
アマルガムを詰めた歯で物を噛む、または歯ぎしりなどで摩擦が生じると、熱によって水銀蒸気が発生することがあります。
この水銀蒸気は体内に吸収されやすく、腎臓、肝臓、脳などの臓器に蓄積される可能性があります。
水銀による健康への影響
体内に蓄積された水銀は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

  • 皮膚の炎症
    アトピー性皮膚炎や掌蹠膿疱症(水泡状の湿疹)を誘発することがあります。
  • 神経毒性
    感覚異常、不眠、神経の過敏症、頭痛、めまい、原因不明の痛みなどの神経症状を引き起こす可能性があります。
  • 生殖や胎児への影響
    水銀は不妊症の一因ともなり、母体から胎児や母乳に移行するリスクも指摘されています。
国際的な対応と現状
1998年、イギリス厚生省は妊婦に対してアマルガムの使用を控えるよう警告を発しました。
また、スウェーデンでは1987年に政府が同様の発表を行い、アマルガムの使用制限を進めています。
一方、日本ではアマルガムの使用は大幅に減少したものの、現在も法的には使用が認められており、一部の歯科医院で使用される場合があります。

アマルガムまとめ

アマルガムは長年にわたり歯科治療で使用されてきた材料ですが、水銀の健康への影響が懸念されています。安全で健康的な治療方法を選ぶためには、代替材料への移行が重要です。
当院では、アマルガムを使用せず、患者様の健康を第一に考えた治療を提供しています。
歯科材料について気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

国際的な対応と現状

金銀パラジウムとは?

「金銀パラジウム合金」とは、保険適用の歯科治療で使用される詰め物やかぶせ物に一般的に用いられる金属材料の一つです。
この材料は、その名の通り金、銀、パラジウムを主成分としており、これに加えて銅やイリジウム、インジウムなどの金属も含まれています。
一般には「銀歯」と呼ばれ、強度と耐久性に優れているため、特に噛む力が強くかかる奥歯の治療に多く使用されています。

金銀パラジウムのメリット
  • 強度と耐久性
    噛む力に耐えられるため、奥歯の治療に適しています。
  • 保険適用
    経済的な負担を軽減し、多くの患者様に利用されています。
  • 加工性
    歯科治療で必要な形状に加工しやすく、治療効率が高い。

しかし、こうした利点がある一方で、金銀パラジウム合金にはいくつかの注意すべき健康リスクがあることも指摘されています。

銀歯(金銀パラジウム合金)の金属アレルギーの危険性

金銀パラジウム合金は、複数の金属が含まれる合金であるため、金属アレルギーを引き起こすリスクが存在します。
特に注意が必要なのが「パラジウム」という成分で、この金属はアレルギー反応を引き起こしやすい性質を持っています。

金属アレルギーのメカニズム
金属アレルギーは、銀歯などの金属が唾液に溶け出し、金属イオンが体内に吸収されることで発症します。
これにより、免疫系が異物と認識し、過剰な反応を起こすのです。

主な症状
  • 口腔内の異常
    歯茎の炎症や赤み、舌の痛み、口内炎など。
  • 全身症状
    アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、激しいかゆみなどの皮膚疾患。
  • 不定愁訴
    頭痛、肩こり、めまい、ほてり、脱毛などの症状が出ることもあります。
国際的な対応
医療先進国では、金銀パラジウム合金の使用に対して制限や禁止措置が取られている例があります。

  • ドイツ
    歯科治療における金銀パラジウムの使用を控えるよう推奨。
  • スウェーデン
    妊婦や小児への金銀パラジウムの使用を完全に禁止。

金銀パラジウムまとめ

金銀パラジウム合金は、強度や経済性の面で優れた材料ですが、金属アレルギーを引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。
特にアレルギー体質の方や体調に不安を感じている方は、銀歯以外の選択肢を検討することをおすすめします。
当院では、患者様の健康を最優先に考え、金属を使用しない治療方法やアレルギーに配慮した代替材料をご提案しています。
銀歯や金属アレルギーについてのご相談は、お気軽にお問合せください。

【Q&A】アマルガムや金銀パラジウム合金についてのよくある質問

Q. アマルガムの詰め物は安全ですか?
A. アマルガムは、耐久性が高く長年にわたり歯科治療で使用されてきました。
しかし、その主成分である水銀が健康に影響を与える可能性があるため、現在では多くの国で使用が制限されています。
当院では、アマルガムを使用せず、安全性に配慮した治療材料をご提案しています。
Q. 金銀パラジウム合金の銀歯はアレルギーを引き起こすことがありますか?
A. はい、金銀パラジウム合金にはアレルギーを引き起こす可能性のあるパラジウムや他の金属が含まれています。
金属イオンが唾液に溶け出し、体内に吸収されることでアレルギー反応が起こることがあります。
皮膚炎や口内炎などの症状が見られる場合は、早めにご相談ください。
Q. 銀歯を白い詰め物に替えることはできますか?
A. 可能です。当院では、ハイブリッドセラミックやセラミック、保険適用のCAD/CAM冠やコンポジットレジン(CR)など、患者様のご希望や状態に合わせた白い詰め物への交換治療を行っています。
お気軽にご相談ください。
Q. 銀歯が古くなった場合、どのように対処すればいいですか?
A. 銀歯が古くなると、金属の劣化や周囲の歯との隙間が発生し、虫歯の再発や歯茎の炎症の原因になることがあります。
定期的な歯科検診を受け、必要に応じて新しい材料への交換を検討することをおすすめします。
Q. 銀歯をそのまま放置するとどうなりますか?
A. 銀歯を長期間放置すると、金属の腐食や摩耗により、金属イオンが体内に溶け出す可能性があります。
また、詰め物の劣化により隙間が生じ、虫歯や歯周病の原因になることがあります。定期的なチェックと必要な治療を受けることで、健康を維持することができます。

まとめ

銀歯に使われる「アマルガム」や「金銀パラジウム合金」は、かつては多くの歯科治療で使用されてきました。
その耐久性やコストの面で利点がある一方で、水銀やパラジウムを含むこれらの材料には、金属アレルギーや健康への影響が懸念されています。知らないうちに体内に蓄積された金属が、皮膚の炎症や神経症状、全身的な健康トラブルを引き起こすリスクがあることがわかっています。
現在では、こうしたリスクを回避するために、より安全で身体に優しい治療材料が広く普及しています。
井上歯科クリニック学芸大では、患者様の健康を最優先に考え、以下のような選択肢をご用意しております。

井上歯科クリニック学芸大の対応
  • ハイブリッドセラミックやセラミック
    金属を一切使用せず、見た目にも美しく、アレルギーの心配がない素材です。
  • 保険適用の白い歯(CAD/CAM冠)
    条件が合えば、保険適用内で審美的な白い歯をご提供できます。
  • コンポジットレジン(CR)
    保険適用の白い詰め物で、部分的な治療に適しています。

これらの治療は、患者様のニーズやお口の状態に応じて最適な方法を提案し、長期的な健康をサポートいたします。
銀歯や金属アレルギーについて心配されている方、また、より美しい仕上がりを希望される方は、ぜひ当院にご相談ください。
患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案し、安心して治療を受けていただけるよう丁寧にサポートいたします。
CAD/CAMについてはこちらをご覧下さい。
その他の歯科材料についてはこちらをご覧下さい。