銀歯について(アマルガムと金銀パラジウム)

保険適用の歯の治療に長く使われてきた銀の詰め物「アマルガム」や、現在でも一般的に用いられる「銀歯(金銀パラジウム)」。
実は、これらには金属アレルギーを引き起こす危険性など、健康を損なうリスクがあることをご存じですか?

アマルガムとは?
「アマルガム」というのは、「歯科用水銀アマルガム」の略で、保険適用の治療に広く用いられてきた銀色の詰め物です。アマルガムは安価で、詰める時は軟らかく、いったん詰め終わると非常に硬くなるという性質があります。

そうした加工のしやすさから、アマルガムは100年以上も世界中の歯科医院で使用され、日本でも1970年代頃まで、70年ほど一般的に使われてきました。
アマルガムの危険性
アマルガムの成分は、錫9%、銅6%、少量の亜鉛、そして水銀です。約50%は水銀ということになり、この水銀が問題!

アマルガムを詰めた歯で物を噛むなどで摩擦が生じた際、その熱で水銀を含んだ蒸気が発生します。そうすると水銀の粒子や水銀の蒸気が体内に流出し、知らないうちに水銀が体内に吸収され、腎臓、肝臓、脳などに蓄積される可能性があるのです。

そうして体内に吸収された水銀は、アトピーのような皮膚の炎症や手のひらや足の裏などに生じる掌蹠膿疱症という水泡状の湿疹を引き起こすといわれています。

さらに、水銀は神経毒性の強い物質です。感覚異常、不眠、神経的なイライラ、頭痛、めまい、原因不明の痛みなどの原因になるともいわれています。また、水銀は不妊の一因にもなるという報告があり、胎児や母乳にまで水銀が届く怖れがあるとも。

1998年4月、イギリス厚生省は妊婦にアマルガムの詰め物をしないように警告を発しました。医療先進国のスウェーデンでも、1987年に政府が同様の発表をしています。

一方、日本ではほとんど用いられなくなったとはいえ、アマルガムの使用はいまだに認められています。
金銀パラジウムとは?
保険適用の歯科治療に使われ、一般に銀歯と呼ばれているのは、「金銀パラジウム」という金属です。

銀歯(金銀パラジウム)は金属なので硬く、力がかかるところでも使えるというメリットがあります。しかし、一方で噛み合わせの反対側の歯が傷んでしまったり、金属アレルギーを引き起こす要因のひとつであるともいわれています。
銀歯(金銀パラジウム合金)の金属アレルギーの危険性
銀歯(金銀パラジウム合金)は銀だけでなく、パラジウム、金、銅、イリジウム、インジウムなど、さまざまな金属が含まれています。

なかでも注意したいのがパラジウム。パラジウムは、金属アレルギーを引き起こしやすく、リンパ球幼若化テストという金属アレルギー検査では、約半数の人に陽性反応が出たという結果もあります。

ドイツなどの医療先進国では、歯科業界に対して金銀パラジウム合金を使用しないように勧告しています。スウェーデンでは、妊婦と小児には金銀パラジウム合金の使用を完全に禁止しています。

金属アレルギーの主な症状は、お口の中で金属と接触する部分が炎症によって赤くなったり、白くなったりします。舌に痛みがある場合もあります。

さらに、お口とは関係のない部位にも影響は表れ、アトピー性皮膚炎や蕁麻疹などの皮膚疾患が出て、激しいかゆみを伴うことも。その他、金属アレルギーは脱毛、頭痛、肩こり、ほてり、めまいなどの不定愁訴の一因になるともいわれています。

まとめ

アマルガムは現在ほとんど使用されなくなっていますが、保険適応の材料としていまだ使用することが認められています。当院ではアマルガムは一切使用しておりませんのでご安心下さい。また、金銀パラジウムは保険適用の詰め物、かぶせ物などに一般的に使われています。

金属アレルギーをはじめ、その他アレルギーなどの健康へのリスクが懸念される場合は、アマルガムや銀歯(金銀パラジウム)を避けるというのもひとつの選択肢です。

当院では、健康への心配のないハイブリッドセラミックやセラミックなどの歯科材料をご用意しております。また、条件が合えば保険適用の白い歯CAD/CAMの治療や白い詰め物コンポジットレジン(CR)の治療も可能です。

以前治療したアマルガムや銀歯(金銀パラジウム)を健康リスクのないセラミックやCAD/CAMに替えたい、というご相談にも応じます。お気軽にご相談下さい。

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