MTAセメント(歯の神経の保存治療)
(Mineral Trioxide Aggregate)

MTAセメントとは、強アルカリ(PH12)による強い殺菌作用をもったセメントです。 通常ほとんどの細菌は、PH9.5で破壊されます。

【メリット】
・水、組織液、血液などで濡れている状態でも硬化する。
通常その他のセメントは、湿った状態だと固くならなかったり接着力が低下する為良く乾燥させてから使用します。
・生体親和性が高い。(体にやさしい)
・セメントが硬化するときに膨張する。そのことにより、緊密に封鎖することができる。
・良質なデンチンブリッジ(保護層)が形成される。
【デメリット】
・変色する場合がある。
・非常に高価。1グラムあたりが金よりも高い。
・ほとんどのケースで保険適用外。
・根管内に入れた場合、固いので除去が困難。
・操作性が悪い。(扱い方が少し難しい)
【セメントの成分】
主に、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、酸化ビスマス、石膏など
【MTAセメントでできること】
・殺菌作用があり、デンチンブリッジができる為、本来歯の神経を取らなければならない場合でも、神経を残せる可能性がある。
水酸化カルシウムでもデンチンブリッジは形成されますが、MTAセメントの方が良質なものができます。

・穴が開いてしまった歯(パーフォレーション)や、ヒビが入ってしまった歯は通常抜歯する可能性の方が高いのですが、
MTAセメントで穴やヒビを封鎖して、抜歯を回避できる場合がある。

・歯の根っこの治療(感染根管治療)をしても、なかなか痛みや違和感が取れなかったり、排膿が止まらず、
治癒しない事があります。そうすると多くの場合は、抜歯せざるを得ない事になるのですが、
MTAセメントを使用することで治ることがあります。
MTAセメントの欠点として、歯の根っこの中(根管内)に充填すると、除去が困難なため
再度根管治療をするのが難しくなるのですが、どうしても感染根管治療で治癒しないときに
最後の一手として、抜歯の前に使用するのがいいかと思います。

・根管治療をしても治癒しない場合、治療済みの歯で、歯の中に土台(ポスト)が入っていてその除去が困難な場合などに、
歯根端切除術という方法で治療するケースがあります。
外科的な処置になりますが、この時MTAセメントを併用すると、予後が良いと考えられます。

まとめ

本来、抜髄(歯の神経を取ること)や抜歯をしないといけないケースでも、
MTAセメントを使うことにより、回避できる可能性があるとても良い材料です。
しかし元々は、抜髄や抜歯をしなくてはならないという、状態が良い歯ではないので、必ず毎回成功するとは言い切れません。
それでもやはり、神経を取ると歯の寿命は短くなりますし、近年インプラントがとても進歩してきており、
流行していますが、やはりご自身の歯をどう残すかを考えることが重要だと思っています。
当院に通院中の患者様が、MTAセメントを使用した方が良いケースはもちろんご案内いたします。
また、他院にて神経を抜くしかない、抜歯してインプラントしかないと言われた方もお気軽にご相談ください。
MTAセメントを使うことによってご自身の歯が残せるかもしれません。
ここでは簡潔な説明になりましたが、わからない言葉や、疑問に思ったことなど、
些細なことでもどうぞお問い合わせください。